宇宙天気ニュース (これは過去のニュースです)

 
当時「情報通信研究機構宇宙環境計測グループ」よりお届けした記事です
太陽フレア・磁気嵐・オーロラ活動など、宇宙天気の最新情報をお知らせするページです。

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これまでの経過 (過去のニュースの全リスト)
2006/11/26 11:00 高速の太陽風が続いています(600km/秒)。放射線帯高エネルギー電子が増加を始めています。
2006/11/27 11:28 600km/秒の高速太陽風が続いています。
2006/11/28 10:29 太陽風の速度は下がり始めています(520km/秒)。オーロラ活動も次第に小規模になっています。
2006/11/29 14:53 太陽風はやや高速の状態が続いています(460km/秒)。
2006/11/30 12:12 太陽風の磁場強度が大きく強まりました(17nT)。現在、南寄りの傾向が現れていますので、磁気圏活動が強まりそうです。
最新のニュース

2006/12/ 1 11:50 更新
太陽風磁場が長時間大きく南を向き(-10nT)、激しい磁気圏擾乱が発生しました。

担当 篠原

昨日のニュースで、太陽風磁場が南を向き始めたことをお伝えしましたが、
その後、南向きは更に強まり、30日13時(世界時30日4時)頃には-10nTに達しました。
磁場強度そのものが10nT程度でしたので、ほとんど最大限に南を向いたと言えます。

-10nTの強い南向きは、30日19時(世界時30日10時)まで6時間に渡って続き、
その後も-5nT程度の南向きが、日付が変わった12月1日1時(世界時30日16時)まで続きました。

今日の1枚目の図は、ACE衛星による太陽風データの3日幅の図です(実質2日分のデータですが)。
この程度の時間幅で見ると、今回の太陽風の乱れがよく分かります。

磁場強度(白線)を見てください。
図のほぼ最初の部分から大きく増加をして、1日半くらいの幅の山ができています。
興味深いのは南北成分(赤線)です。
初めは、磁場強度(白線)に従うように、大きく北向き(プラス方向)に強まっていますが、
やがて白線を離れて0nTの線に向かい(南北成分が弱まった)、
やがて大きく南を向き始めます(マイナス方向)。
磁場の山の中で、大きくプラス、マイナスへ回転するような変化になっています。

太陽から太陽風に乗って磁場のかたまりが流れて来るとき、
その中で磁場構造が大きな螺旋を描いていていると考えられています。
そこを地球が横切ると、螺旋形の影響で、磁場の方向がぐるっと回転します。
その様子を、今回は南北成分に見ることができたのでしょう。


磁場のかたまりが流れてきて、強い南向きが長時間発生すると、
地球の磁気圏が激しく活動します。
今回もAE指数では、1000nTから1500nTに達する激しい変動が観測されています。
極域ではかなり激しいオーロラ活動が見られたのではないでしょうか。

沖縄の磁場データも、静穏レベル(青の横線)から、最大で-100nT下がる変化を示しています。
この値が下がるほど、赤道上空に磁気圏擾乱の強い電流が流れていることを示しています。
世界規模で変動を調べているDst指数でも、最大は-100nT程度まで下がっています。
ただし、擾乱の開始前が-30nTでしたので、実質的には-70nT程度の減少だったと考えられます。
長時間の強い南向き磁場の影響で、中規模の磁気嵐が発生していたことになります。

現在の沖縄の磁場データでは、磁場の減少はかなり回復していますが、
これは地域的な効果も含んでいて、
世界的なDst指数ではまだ半分程度の回復です。

今回の太陽風磁場の乱れの間、太陽風の速度は400km/秒の通常の速度でほとんど安定していました。
このため、磁気圏の擾乱は大きくはなりましたが、極端に激しいものには発達しませんでした。
太陽風から磁気圏へ流れ込むエネルギーの大きさは、
太陽風の速度と、南向きの磁場強度とで決まります。
今回は、南向き磁場は強かったのですが、速度がそれほどでもなかったため、
中規模レベルの磁気圏擾乱に留まったとも言えます。


磁場のかたまりは過ぎ去りましたので、
この後は普段の太陽風の変化に戻ります。
ひとまず穏やかな状態になりそうですが、小規模のコロナホールの影響が見られるかもしれません。
前周期を見ると、今日に相当するところに(11月4日)、小さな速度の山が見えています。

放射線帯の高エネルギー電子は、大きく減少しています。
この後もこのまま低いレベルで推移すると思われます。

太陽面では、新しく928黒点群が、中心からやや西に(右に)寄ったところに発生したそうです。
掲載の写真では小さすぎて、ほとんど見つけることができません。
926, 927黒点群は規模にほとんど変化はありません。
X線グラフの小刻みな変動は減少していて、黒点群たちは落ち着いて来ている様です。




ACE衛星による、3日間の太陽風の変化。太陽風にのって大きな磁場のかたまりがやって来た(白線)。
(c) NOAA/SEC


GOES13衛星のX線カメラで撮影した太陽の様子。12月1日2時(世界時11月30日17時)。元の写真はやや左に傾いています。
(c) NOAA/SEC


ACEが観測した太陽風の磁場(1番上の枠、白線は全体の強度、赤線は南北成分)
および、太陽風の密度(3番目の橙線)、速度(4番目の黄線)
(c) NOAA/SEC



リアルタイムAE指数
下段のAEグラフの値が高くなると、オーロラ活動が活発化しています。
(c) 京都大学, NICT



沖縄の磁場擾乱
下へ下がるほど、擾乱が発達している事を意味します。
(c) NICT



27日の太陽周期に合わせたデータプロット
太陽が同じ面を地球に向けていた27日前の変化から、今後を予想することができます。
(c) NICT
太陽X線
○はM以上
太陽風速度
km/sec
セクター
Bx (nT)
IMF Bz,Bt
nT
沖縄変動
nT
沖縄短期変動
nT
静止軌道電子
/cm^2 s sr
太陽X線
○はM以上
太陽風速度
km/sec
セクター
Bx (nT)
IMF Bz,Bt
nT
沖縄変動
nT
沖縄短期変動
nT
静止軌道電子
/cm^2 s sr
GOES衛星による、静止衛星軌道における高エネルギー電子の変化
(c) NOAA/SEC



SOHO衛星のMDIカメラによる太陽黒点
(c) SOHO (ESA & NASA)



GOES衛星の太陽X線データ
(c) NOAA/SEC





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篠原 学( shino@kagoshima-ct.ac.jp )宛てお知らせ下さい。