宇宙天気ニュース (これは過去のニュースです)

 
当時「情報通信研究機構宇宙環境計測グループ」よりお届けした記事です
太陽フレア・磁気嵐・オーロラ活動など、宇宙天気の最新情報をお知らせするページです。

リアルタイムデータ
27日周期 (NICT)
短期太陽風電子
太陽黒点 (SOHO)
太陽X線 (GOES)
活動領域 (NASA)
EIT284 (SOHO)
EIT195 (SOHO)
LASCO C2 (SOHO)
LASCO C3 (SOHO)
コロナホール (NAOJ)
太陽風 1日 (ACE)
太陽風 7日 (ACE)
セクター構造 (NICT)
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衛星磁場 (GOES)
衛星電子 (GOES)
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沖縄磁場変動 (NICT)
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これまでの経過 (過去のニュースの全リスト)
2006/12/10 13:02 930黒点群の活動は穏やかになりました。太陽風の速度が再上昇して(580km/秒)、オーロラが活動的になっています。
2006/12/11 12:04 高速太陽風が続いています(600km/秒)。オーロラも活動的です。930黒点群が活動的になるかもしれません。
2006/12/12 10:48 太陽風がかなり高速になっています(700km/秒)。930黒点群は、現在は落ち着いています。
2006/12/13 11:02 かなり高速の太陽風が続いています(650〜700km/秒)。オーロラ活動も活発です。
2006/12/13 11:55 [速報] 13日11時半(世界時13日2時半)に、X3.3の大規模フレアが発生しました。
最新のニュース

2006/12/14 11:13 更新
昨日、X3.4の大規模フレアが起こりました。今夜以降に、かなり高速の太陽風が到来し、激しい磁気圏活動を起こす可能性があります。
2006/12/14 20:59 追加 
[追加情報] これから高速の太陽風がやってきます。激しい磁気嵐が発生する可能性があります。

担当 篠原

昨日、13日11時半(世界時13日2時半)に、390黒点群でX3.4の大規模フレアが起こりました。
930黒点群の大規模フレアとしては、7日3時半(世界時6日18時半)のX6.5以来で、
930黒点群が規模を拡大し、X線強度が強まってきた直後の活動でした。

今日1枚目の写真で、SOHO EIT195カメラが捉えた、フレアの爆発の動画を紹介します。
930黒点群の場所で、激しい光が見えています。
その直後、コロナ全体に、もわっと衝撃が広がって行く様子や、
フレアの起こったあたりで、明るいループが輝く様子などもきれいに見えています。

930黒点群は、黒点の規模、磁場分布の複雑さをともに保っていて、
続けて大規模フレアを発生させる可能性があります。
しばらく間をおいて次を起こす、というのはよくあるパターンです。
黒点群が規模を保っている間は、注意を続けることが必要です。


フレアの直後から、太陽放射線(非常に高速のプロトン粒子)の急な増加が発生しています。
今回のフレアは、太陽の中心付近で発生したため、
太陽放射線も直後から急に増加をしています。
例えば、宇宙天気ニュース12月8日号に掲載している太陽放射線の図と比較してください。
前回が緩やかな上昇だったのに対し、今回は一気に上がっています。

強度としては、13日19時(世界時13日10時)頃の700PFUが最大でした。
その後はゆっくりと低下に向かっています。
しかし、依然200PFUのレベルがあり、警戒ラインの10PFUを大きく超えています。
引き続き注意が必要です。


さて、フレア活動にともなって、CME(太陽ガスの放出現象)が発生しています。
SOHO LASCO C3の写真を見てください。
今回のガスは、太陽の中心から、地球に向かって飛び出す様な形になっています。
SOHOの動画でも、濃いガスが太陽から全体に広がって行く様子が見えています。
ただ、どちらかというと、南西(右下)に濃く広がっているようです。
また、太陽放射線の到来によって、白いノイズ(snowstorm)が画面全体に発生し、
後半はよく分からなくなっています。

このCMEによる、高速の太陽風が、
今夜から明日の午前中にかけて地球へやって来ると思われます。
恐らく、深夜から未明にかけてとなるのではないかと思います。
大規模フレアによるものですので、
1000km/秒近いかなりの高速風がやって来る可能性があります。

大規模な磁気嵐や、激しいオーロラ活動が発生する可能性もあります。
それを決めるのは、太陽風磁場の南北成分です。
これがどのくらい南を向くか、また、長い時間続くかが重要です。
速度がどんなに速くても、北寄りに推移すれば大きな乱れにはなりません。
高速風の速度の変化とともに、磁気圏擾乱のスイッチとも言える、
太陽風磁場の南向き成分の変化に注目してください。


現在の太陽風は、600km/秒台の高速風がほぼ安定して続いています。
(太陽放射線のため、ACEのグラフの中間はデータエラーになっています)
ここまで続くとは、発生原因はどういう状況になっているのでしょうか。
次の周期に、ここでどのような太陽風が見られるのか楽しみです。

かなりの高速風が安定して続いているのですが、
磁場の南北成分が北寄りになっています。
このため、磁気圏の活動はほとんどなく、オーロラ活動は穏やかでした。
AE指数は、600km/秒の高速風が来ているとは思えないほどの静かさです。
シベリアの図を見ると、一昨日まではとてもにぎやかだったのに、
昨日の部分(右側3分の1)は、全く変化がありません。


放射線帯高エネルギー電子は高いレベルを保っています。
2つの衛星とも、警戒ラインの10の4乗にほぼ達しています。
こちらへの注意が必要な状態も続いています。


2006/12/14 20:59 追加 (篠原) 関連の図はページの最後にあります
昨日のX3.4大規模フレアによって作られた、高速の太陽風がこれから地球へやってきます。
今夜から明日にかけてと予想されますが、フレアが大規模だったことを考えると、
今夜のうちに到来するのではないでしょうか。
到来が早いほど、速度も高い事を意味しますから、磁気圏への影響はより大きくなります。
今後のACEのデータに注意してください。

磁気嵐やオーロラ活動がどのくらい激しくなるかは、太陽風磁場の南向き成分が大きく影響します。
高速風到来後の、磁場の南北成分(ACEの赤線)に注目してください。
南向き(マイナス)になるほど、磁気圏は大きく乱れます。
速度と磁場の条件が整えば、
北海道で低緯度オーロラが見えるほどの磁気嵐が起こるかもしれません。

現在の太陽風は、580km/秒の高速状態が続いています。
また、太陽放射線も150PFUと強まったままです。



SOHO EIT195による、X3.4のフレアの様子。フレアの瞬間、コロナ全体に衝撃が広がる様子や、フレアの後のループの輝きなどがよく見えています。
(c) ESA & NASA


SOHO LASCO C3による、フレア後のCMEの様子。ガスが飛び出す瞬間が見えています。その後は、太陽放射線のノイズで真っ白です。
(c) ESA & NASA


SOHO衛星EIT284カメラの映像
(c) SOHO (ESA & NASA)

最新映像


GOES衛星の太陽X線データ
(c) NOAA/SEC



SOHO衛星のMDIカメラによる太陽黒点
(c) SOHO (ESA & NASA)



GOES衛星の太陽放射線データ
(c) NOAA/SEC



ACEが観測した太陽風の磁場(1番上の枠、白線は全体の強度、赤線は南北成分)
および、太陽風の密度(3番目の橙線)、速度(4番目の黄線)
(c) NOAA/SEC



リアルタイムAE指数
下段のAEグラフの値が高くなると、オーロラ活動が活発化しています。
(c) 京都大学, NICT



シベリアで観測された3日間の磁場データ
右側の3分の1が、昨日のデータになります。グラフが上がったり下がったりすると、オーロラ活動が活発化しています。
(c) NICT



27日の太陽周期に合わせたデータプロット
太陽が同じ面を地球に向けていた27日前の変化から、今後を予想することができます。
(c) NICT
太陽X線
○はM以上
太陽風速度
km/sec
セクター
Bx (nT)
IMF Bz,Bt
nT
沖縄変動
nT
沖縄短期変動
nT
静止軌道電子
/cm^2 s sr
太陽X線
○はM以上
太陽風速度
km/sec
セクター
Bx (nT)
IMF Bz,Bt
nT
沖縄変動
nT
沖縄短期変動
nT
静止軌道電子
/cm^2 s sr
GOES衛星による、静止衛星軌道における高エネルギー電子の変化
(c) NOAA/SEC




2006/12/14 20:59 追加

ACEが観測した太陽風の磁場(1番上の枠、白線は全体の強度、赤線は南北成分)
および、太陽風の密度(3番目の橙線)、速度(4番目の黄線)
(c) NOAA/SEC



GOES衛星の太陽放射線データ
(c) NOAA/SEC





この情報ページについて、コメント、要望などがありましたら、
篠原 学( shino@kagoshima-ct.ac.jp )宛てお知らせ下さい。